アメリカ生まれのレザーケア
日本にはたくさんのレザーケア用品があります。野球用グラブも例外ではなく今ではメーカー各社から販売されています。
では野球発祥の国であるアメリカの人はどのようなレザーケア用品(オイル、レザーローション)を使ってグラブを磨いているのでしょうか?
アメリカにはグラブ用オイルやレザーローションはそこまで多くありません。私が知る限りではウィルソンのコンディショナー、ローリングスのグラブバター、グラブローション、ノコナのグラブコンディショナーぐらいです。
この中で、現在日本で手に入るものはありませんが、ローリングスグラブバターは2018年から日本でも発売予定です。
↓購入・予約はこちらから
このようにグラブオイルやローションの数は少ないですが、他のレザーケア用品は数多くあります。
中でも今回、紹介するのはLEXOL(レクソル)というメーカーのレザーコンディショナーです。
レクソルのレザーコンディショナー
正式名称は
LEXOL LEATHER DEEP CONDITIONER
(レクソル レザーディープコンディショナー)
レクソルはアメリカで1933年からレザーケア用品を製造・販売している老舗メーカー。レクソルのレザークリーナーやコンディショナーは、アメリカで革製の車のシートやソファー、靴(ブーツ)によく使われるそうですが、グラブにも使えるとのことです。
主なラインナップはレザークリーナー、レザーコンディショナー、ニーツフットオイルなどがありますが、今回はレザーコンディショナーを購入してみました。
革の本来のオイル分と同等?
このレクソル レザーディープコンディショナーの主成分は合成マッコウクジラ油というもので、革の複雑な組織内部に留まりやすい配合になっているようです。
見た目はこんな感じで、肌色っぽい白濁液です。
動物の皮(グラブの場合は牛)がグラブの素材である革になるために”なめし”という腐敗を防ぐための加工をするのですが、その際にグラブに油を添加する”加脂”という過程があります。マッコウクジラ油などの鯨油はかつてその革の”加脂”に使われていた油だそうです。
現在は捕鯨が禁止されている国も多く、日本でも商用捕鯨は禁止されているので鯨油を手に入れることは難しい状況です。
しかし、その鯨油の成分は化学合成が可能なことから、このレザーディープコンディショナーには合成マッコウクジラ油というものが使われています。
他に加脂工程でも用いられるオイルとしてはニーツフットオイル(牛脚油)などがあります。
これらの”革に元々入っているオイル”は野球用グラブオイルとして販売されていませんが、一部では”革に元々入っているオイルをグラブに塗るべきだ”という声もあります。考え方としては元々革に浸透していたオイルと同じものを塗るということなので納得ですが、野球のグラブは他の革製品と違って傷が付きやすいので、必ずしもこういったオイルが一番良いとは限らないと私は思います。
表面を保護するためには石油由来のワセリンなどが含まれたオイルが有効だと思います。実際に人間もワセリンを皮膚に塗りますから。
ではこのレクソル レザーディープコンディショナーはどのように使うことができるのか?
グラブを柔らかくする型付けオイル
このオイルの特徴は何と言っても液体状で浸透性がかなり良いという点です。購入したばかりのグラブにはオイルが十分に入っていないことがあります。そこでこのオイルを塗ることでグラブを柔らかくする手助けをします。
なぜ型付けでオイルを塗る必要があるのかというと、オイルが革の組織内部で潤滑油のような役割を果たしてくれるためグラブが柔らかくなりやすくなるのです。
ですが大事なことは塗るだけでは柔らかくならないということです。型付けにおいてオイルを塗るのはあくまで補助的な役割です。基本は揉み・叩き・捕球の繰り返しです。